shoutenguyのブログ

商店街愛好家による記録

再履修男が語る慶應商学部の中国語

失敗でした。軽い気持ちで、何となく第二外国語を選んだ僕は、同級生より1年長く中国語を勉強することとなります。以下の文章は、適当に第二外国語を選び、適当に勉強したりしなかったりした結果、再履修までした人間が、そのくせ真剣に3年間の中国語ライフを振り返り、勝手ながら後輩には有意義な時間を過ごして欲しいと願いつつ書いたものです。

 

■1年生 語学は基礎が大事

 

大学受験を終えたばかり、新生活が始まって色々楽しみたいという時期に、イチから新しい言語を勉強するというのはなかなか大変なことです。そもそもラクして語学を習得しようという発想が間違っていますが、入学前特有のふわふわとしたノリで、手っ取り早く単位が取れそうな言語を希望し、抽選の結果、中国語選択となりました。

 

「漢字だから大丈夫」という油断した気持ち半分、「ほんとはスペイン語が良かった」という不本意な気持ち半分。記念すべき初回の授業は、いま振り返ると物凄く斜に構えていた当時の僕を、戦意喪失させるに十分な内容のものでした。

 

マー、マー、マー、マー。

 

いきなり何を書いているんだと心の中で突っ込んだあなたのために説明すると、中国語には「声調」というものがあります。漢字の読み方をローマ字で表記した「ピンイン」と呼ばれるものに、4種類の音の上げ下げの仕方が記載されているのです。(動画参照)

 

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なんとも気の抜けるこの感じが90分も続いたら、気が狂いませんか?(笑)僕にはバカバカしく、恥ずかしく感じられてしまいました。こういうことを素直に真面目にできる人ならいいですが、できない僕には退屈で苦痛を伴う時間でした。そして、音読するだけで恥ずかしくて難しいのに、これを正しく聞き取るということをしなくてはいけません。同じピンインでも、声調が違えば意味が全然違うからです。後ろで書きますが、「音への抵抗」が、単語や文章と向き合っていくなかで、ボディブローのようにジワジワと効いてきます。

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你叫什么名字?

 

日本語の漢字と似ているから簡体字を見て意味が推測できるというのは、中国語が取っ付きやすい理由の一つでしょう。ところが、その取っ付きやすさは、単位取得には一ミリも役に立ちません。中国語を和訳するという作業は、せいぜい宿題として課せられる程度で、試験には必要ないからです。むしろ、「漢字で書け」という場面がたくさんあるわけですが、それがまあややこしいこと。「あれ、どっちだっけ?」連発です。もちろん試験では、線一本いるかいらないか、点一個つけるかつけないかというレベルで採点されます。それはもう「とめはねはらい」を厳しく指導された小学生のころのように。

 

さて、日吉の中国語の定期試験においては、4つある語学の要素(聴く、書く、読む、話す)のうち、「聴く」と「書く」が重視されています。ズバリ、試験の大半が「リスニング×漢字で答えを記入」のカタチなのです。したがって、上で挙げたような「中国語独自の読み方(ピンイン・声調)」と「日本語の漢字と中国語の簡体字の微妙な違い」がミックスされて、困難な壁として立ち塞がるわけです。

 

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■2年生 もろもろコミコミ6割でC

 

では、定期試験だけやっていればいいか、「聴く」「書く」だけやっていればいいかというと、決してそうではありません。いわゆる「平常点」も、定期試験と同じくらい重要で、平常点をゲットするためには書いたり話したりする必要があります。どういうことかというと、平常点は「出席、宿題、小テスト、暗唱」の4つの要素から構成されています。

 

まず、書いたり話したりする以前に、授業に出なければなりません。ある程度出席しなければ単位が取れなかったり評価が下がったりするところが厳しいところです。午前のコマに入っていることが多いので、意外と遅刻してしまうものなんですよ。

 

宿題は、2〜3週に1回課されます。教科書を中心に授業が進むので、文章を和訳し、練習問題に答えて準備しておくというものです。その都度、新しい文法と新出単語を確認していきます。辞書で調べないといけないこともあるので面倒です。

 

小テストは、前回の授業の内容の復習を兼ねています。主に新出単語や例文が試験範囲の対象となります。毎回の授業の最初の10分ほどを使って行われるので、遅刻して受験できないこともしばしばあります。

 

暗唱とは、ひとまとまりの文章を暗記して、授業内で発表するものです。指名制か挙手制か、一人でやるかペアを組んでやるかは先生によりますが、2〜3週に1回は必ずやらなければいけません。僕の場合、指名制だった1年生の頃はイヤイヤやっていましたが、2年生で挙手制になったのをいいことに、一度も暗誦しなかったら見事に単位を落としてしまいました。ただ覚えるだけでも大変なのに、声調があるばっかりに、音楽の授業の歌のテストみたいな恥ずかしさも相まって、どうにも馴染めなかったのです。(これを読んでくださっているあなたは注意しましょう!笑)

 

以上のように、定期試験だけでなく通常授業からコツコツ頑張らなければ単位を取れないのが第二外国語(というか日吉商学部の中国語)の厳しいところです。そして、どこかでサボってしまうと後々大変になってきます。そうです、定期試験はギリギリ頑張れていたものの暗唱を全くやらなかった僕は、まんまと再履修男になってしまいます。

 

■3年生 中国語Ⅹ

 

商学部の中国語のカリキュラムは非常に充実していて、再履修の学生専用の授業が設けられています。それが「中国語Ⅹ」です。教室いっぱいに再履修の学生が集められると、それはそれは独特の雰囲気が漂います。僕みたいな普通のクズから、留年生、体育会、幼稚舎出身、2年連続再履修などなど、ワケあり人間の集うまさにカオスです。そんな特殊なクラスを仕切るのは、T教授という非常に厳しくも愛のある先生で、独特の煽り方で学生のモチベーションを上げてくださいました。若干女子に甘いという嫌いはありますが、おかげさまである意味非常に充実した1年間でした。もう一度やり直せるなら、自主的にT教授の下でやりたいとすら思います。そういう意味では、何十とある中国語クラスの中で、どの先生と巡り合うかという運の要素も大きいのではないかと思っています。

 

ここまで、3年間の中国語ライフを振り返ってきましたが、決して何かをディスりたいとか自虐したいとかそういうわけではなくて、これを読んでくださった人に充実した時間を過ごして欲しいというただそれだけです。

 

中国語最高!慶應義塾大学最高!(ここ重要)

 

適当に語学を選んで、やる気を出せずにそのままズルズルいってしまったというのが僕の反省としてあるのですが、今思えば、どこかで「やる意味」「楽しさ」を見出せていたらよかったなと感じています。それは例えば、就職活動の際に中国語の検定があれば役に立つよな、とか、中国人と触れ合う機会ってたくさんあるから少しでも喋れたら楽しいよな、とか、そういうことです。そのためには、単に「単位を取る」という目先の目標だけでなく、将来のことを想像できていなければダメだったのですが、当時の僕にはできなかったので、もし今第二外国語のことで悩んでいる人がいたら、是非そんな視点で考えてみてください。